フォトボイス・ミーティング

「フォトボイス・ミーティング」はフォトボイス・プロジェクトの柱となる重要な活動です。2011年6月から福島県郡山市、宮城県仙台市その後、岩手県宮古市、宮城県石巻市および女川町、福島県福島市、首都圏など、順次フォトボイス・ミーティングを開催する地域を広げてきました。

「フォトボイス・ミーティング」とは、フォトボイス(写真と声)という手法を通じた、グループミーティングのことです。

具体的には、グループのメンバーが、毎回自分が撮影した写真を持ち寄り、その中かから他のメンバーと話し合いたいと思う写真を数枚選びます。写真を一枚ずつスクリーンに投影しながら、グループで写真に関する感想や撮影したメンバーの意図、気づいた点などについて話し合います。写真を使用することで、言葉にならなかった/することが難しかった感情や問題意識が明らかにしやすいという利点があります。

フォトボイスの手法は、世界各地で開発の現場などにおいて広く活用されています。

私たちフォトボイス・プロジェクトが行っているフォトボイス・ミーティングでは、グリーフケア(一般に大切な人を亡くした後の深い悲嘆からの回復をめざした実践を意味する。私たちのプロジェクトでは、大切なもの・こと・場所などの喪失の苦しみ・痛みなども含めて用いる)に加え、個人とグループの成長(より良い状態へ向かう)もめざしています。

また、グループのダイナミクスを重視したファシリテーションによって、同じグループ内で継続的にミーティングを重ねるのが特徴です。この独自のフォトボイス・ミーティングに特化したファシリテーションの手法に関してもファシリテーター養成研修やワークショップ、デモンストレーションなどを開催し、復興過程をはじめ様々な社会問題への対応にも応用できる手法として根付かせる活動も行っています。

「フォトボイス・ミーティング」として、各地のグループでは、女性たちが多様な視点で撮った写真を持ち寄り、写真を見ながら語り合う活動を続けています。被災後の生活や心境、現状や地域社会の課題などについて、小グループで語り合いを重ねるなか、震災で失ったたくさんの人やもの、場所について、自分の経験や気持ちを写真を通して伝え、他のメンバーの話を聞くなかで、グループ内や違う地域/グループのフォトボイス・メンバー間の相互交流が生まれました。

自分たちの経験が持つ意味を考えるきっかけにもなり、地域や社会の課題や問題を共に考える場にもなりました。話し合いを重ねる中で、メンバーは、社会に伝えたいことを整理し、文章にまとめ、「声」(メッセージ)を作ってきました。そして、フォトボイス・メンバーが苦心して形にした写真と声は、国内外で開催されるフォトボイス展フォトボイス集(写真集)アーカイブと、様々な回路を通じてフォトボイス・メンバー自身の体験や考えを広く発信していくための貴重で有効なツールともなっています。それらのプロジェクトとしての諸活動の基礎にあるのが、「フォトボイス・ミーティング」であると、言えます。