目標9 強靭(レジリエント)なインフラ、包摂的で持続可能な産業化とイノベーション

 目標9がどんな内容なのかは一読しただけではつかみとりにくいのではないだろうか。達成目標(ターゲット)9.1は「すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱なインフラを開発する」である。ただ単に強靭なインフラやイノベーションが求められているのではなく、インフラやイノベーションは、すべての人がアクセスできる公平な経済発展および福祉を支えるために必要なツールということを忘れてはならない。
 東日本大震災は、インフラに大きな打撃を与えた。災害からの復興には、道路鉄道、橋梁、港湾施設などハード面のインフラの復旧が急務である。復旧された鉄路や漁港、再建・新築された駅舎などが住民に与える希望やよろこびは計り知れない。しかし一方で、鉄道の復旧の遅れや採算があわない路線をバス輸送に切り替えるなど、公平なアクセスに逆行する動きもみられた。さらに、復旧・再建された駅舎が、障害を持つ人々、乳幼児を抱える人や高齢者のニーズへの配慮を欠いているケースも見られた。多様性への配慮は持続的な社会に不可欠だ。
 ベルテルスマン財団・SDSN*による「持続可能な開発報告書2024」は、前年にひきつづき、日本において目標9は「達成済(SDG achieved)」という評価を下した。この評価は甘すぎないだろうか。

*持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(The UN Sustainable Development Solutions Network)


寸断された鉄橋

JRの宮古―釜石の鉄路は、未だに手つかず。
特に高校通学に不便さをもたらしている。
進路選択に交通の便が影響しないように、
復興に力を注いでほしい。

さくら
岩手県宮古市宮古橋 2013年11月 撮影


繋がった鉄橋

5年の時を経て復旧した鉄橋。
列車運行にはまだまだ時間を要するが、
希望に向かって「出発、進行」!

さくら

岩手県宮古市宮古橋 2016年8月 撮影


理解に苦しむ「復興」― 住民の生活の実情は反映されていない

ここは、三陸鉄道の山田駅。
津波で流出し、火事もありました。
新しく造られた駅は、やっぱり昔のままの階段だけ。
エレベーター、エスカレーターもスロープもない。
高齢者が多い町なのに。

ぴーなっつ
岩手県山田駅 2019年1月 撮影