目標5 ジェンダー平等と女性・女児のエンパワメント

 世界経済フォーラム*による2024年の日本のジェンダーギャップ指数(男女平等度の数値化)は146か国中118位で、先進国中最低レベルである。とりわけ政治および経済分野の指数(1が完全平等を示す)は、0.118(113位)と0.568(120位)と極端に低い。
 意思決定の場に女性がいない・少ないことは、災害時に避難所や仮設住宅において女性のニーズが反映されにくいという弊害をもたらす。東日本大震災では、避難所での授乳室や更衣室の必要性への認識の欠如や、生理用品や下着の配布方法などの課題が指摘された。さらに、災害時には炊き出しは女性で無償労働(アンペイドワーク)、瓦礫片付けは男性で有償労働といった強固な性別役割分業も露見した。
 達成目標(ターゲット)5.2は「人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する」である。平時から性に基づく暴力は蔓延しており、災害時にはリスクが増幅する。1995年阪神淡路大震災後、災害時の女性への暴力の問題を訴えた女性NGOのメンバーが悪質なバッシングを受けた。しかし、粘り強い活動が東日本大震災後の事例調査**につながり、夫・交際相手による暴力(DV)、強姦(事例調査当時の法律用語、2023年に不同意性交となる)、セクシャルハラスメントなど、多様なジェンダーに基づく暴力の実態が明らかになった。
 経済協力開発機構(OECD)による2022年版報告書や、国連地域開発センター(UNCRD)による「2030年までの道筋: 地方自治体SDGs達成度評価2023」は、日本において目標5 に課題があると指摘している。国内でも同様の指摘がある(例えば、SDGs推進円卓会議の民間構成員が作成した政府への提言など)。ベルテルスマン財団・SDSN***による「持続可能な開発報告書2024」は、日本における目標5 の達成度には「深刻な課題がある(Major challenges)」という最低評価を下した。抜本的な取り組みが求められている。

*経済、政治、学術などの分野のリーダーが連携して、グローバルかつ地域的な経済に取り組み、世界情勢の改善に取り組む独立・非営利団体。本部はスイス・ジュネーブ
**東日本大震災女性支援ネットワーク調査チーム「東日本大震災「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査報告書」http://risetogetherjp.org/?p=4879
***持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(The UN Sustainable Development Solutions Network)


ベランダからの風景

外壁工事のため足場が組まれたまま補修工事は中断。
日差しが遮られうっとうしい。暑い夏の夜も窓を閉め切って
寝なければならない。
震災後水不足でグッタリしていた観葉植物が
息を吹き返した。元気をくれて有難う。

takahashi
宮城県仙台市 2011年8月 撮影


単身世帯

仮設住宅玄関先に女性の靴と男性の靴が並んでいますが、実は女性の単身世帯です。
同居していた両親が津波で行方不明、祖母は震災より3週間後に突然逝去しました。
行政発注の仮設住宅風呂釜追い炊き工事に他県から来ていた男性業者に
単身者と知られ、付き纏(ルビ:まと)いが始まりました。頼れる近親者もなく
行政や警察に相談しましたが、自分の身は自分で守るしかないと
思い知らされました。
不本意ですが、二人暮らしを装うために知人から男性の靴を貰い受け
並べて置くことにしました。
既に仮設住宅からは転居しており、震災からまもなく6年になりますが、
いまだに玄関先には男性用の靴を置き、左手薬指には結婚指輪に見紛う
ファッションリングをする日々が続いています。

ラティーナ
宮城県石巻市仮設住宅 2012年10月 撮影


地震直後、余震続く中で

地震直後、余震続く中で、ながーい地震の揺れが終わって、
逃げ出たベランダから居間を振り返った。
家具が倒壊していないことに安堵し、思わず近くに
あったカメラのシャッターを押した。
そして、デイサービスから戻ってくる叔母を自宅にむかい入れることになると判断し、
夕方暗くなる前に必死に後片付けに取り組みました。
後に、もし自宅が津波被災地であったらと、いろいろ考えさせられました。

MASAKO
宮城県仙台市内自宅 2011年3月11日 撮影