
持続可能な都市及び住居に関する目標11は多岐にわたる。達成目標(ターゲット)には、安全、安価な住宅、生活上の基本的サービスへのアクセス(11.1)、女性・子ども・障害のある人、高齢者たちのニーズに配慮した輸送システムへのアクセス(11.2)などが掲げられている。また、大気の質や廃棄物の管理など環境上の悪影響の軽減(11.6)という達成目標は、原発事故によって放射能被災にさらされた人々への影響と関連する。文化遺産や自然遺産の保護・保全(11.4)も目標11の達成目標である。注目に値するのは、水関連災害などによる死者や被災者数の大幅削減(11.5)という、直接災害に関する達成目標も明記されていることだ。
しかし、政府が国連に提出した「自発的国家レビュー2021」(SDGsの達成状況に関するレポート)は、災害時の緊急支援や被災者生活再建支援法などの法規、防災基本計画などには言及しているが、災害時・災害後のまちづくり、住宅再建等に全くふれていない。
ベルテルスマン財団・SDSN*による「持続可能な開発報告書2024」は、家賃負担が重い人の割合の増加などを考慮して、前年の「課題が残る(Challenges remain)」から「重要な課題がある(Significant challenges)」に目標11の達成度の評価を下げた。
*持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(The UN Sustainable Development Solutions Network)
草木に埋もれる我が家
帰還困難区域の我が家。
8年間住むことができず、植木が生い茂っている。
復興、復興と言われるが、前のような町に戻れるのか。
以前は見通せた我が家が、今は見えないのと同じように、
先が見えない。吉田
福島県富岡町 2019年10月 撮影
生まれ育った浜に帰る
この地が自立再建する高台です。
この場所に立った時、忘れかけていたいろんな思い出が甦り、
何ともいえない心境でありました。
でも、残りの人生この地から再スタートしなければなりません。
不安でいっぱいですが、前向きの姿勢で頑張っていきます。オモティ
宮城県女川町 2014年8月、2015年11月、2016年10月 撮影
獅子振り
小さな集落の伝統行事の獅子振り。
太鼓と笛の音色が大好きです。
でも、震災のあとの復興へのイベントに獅子振り?
土地も家もないのに、何が復興なの?
素直に心から楽しむことのできない自分にイラついていました。
今は、太鼓と笛の音にワクワク。
こんな気持ちを取り戻させてくれた喋々、ありがとう。ルアバーバ
宮城県沿岸部 2015年1月 撮影
しぶとく、何度でも
2011年12月、自宅を解体した。
心と体のバランスを崩すほど、自分にとっては大きなショックだった。
出来るなら忘れたくて、道路すら避けていた。
それでも…と、一年三ヵ月ぶりに訪れた跡地。
そこには、震災前に植えていた、ふきのとうが芽生えていた。
今はまだ、現実を受け止めきれずにいるけれど、
いつかこのふきのとうのように、しぶとく、強く生きたい。Y.S
宮城県石巻市 2013年3月 撮影