目標1 あらゆる形態の貧困解消、脆弱性軽減、強靭性(レジリエンス)の構築

 「貧困解消」という目標は、今の日本には該当しないと思う人も多いかもしれない。しかし、あえて「あらゆる形態」と記しているこの目標は、日本にとって重要な意味がある。日本全体の相対的貧困率(可処分所得が全体の中央値の半額未満の割合)は、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中8位(2022年時点)と高い。特に、ひとり親世帯の相対的貧困率は48.3%でOECD加盟国中2位と著しく高い。しかし、政府による「SDGs実施指針」(2023年改定版)の優先課題には貧困への言及はない。
 貧困に苦しむ人々や脆弱な立場にある人々は災害の被害を受けやすく、(生活)再建もより困難である。貧困を解消し、脆弱性を軽減することが、災害のリスクを軽減することにつながる。目標1の達成目標(ターゲット)には、「2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に対する暴露や脆弱性を軽減する」と明記されている。
 ベルテルスマン財団・SDSN*による「持続可能な開発報告書2024」は、日本における目標1の達成度を「課題が残る(Challenges remain)」と評価している。目標達成に向けてより根本的な取り組みが求められている。
*持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(The UN Sustainable Development Solutions Network)